学校薬剤師によるがん教育の実施とその教育効果について -カード学習教材を用いた授業の実施-

地域連携サテライトセンター:横山 郁子 助手
地域連携サテライトセンター
横山 郁子 助手

第18回日本緩和医療薬学会年会 優秀演題賞(2025年6月22日付)
タイトル:学校薬剤師によるがん教育の実施とその教育効果について -カード学習教材を用いた授業の実施-

がんは日本人の約2人に1人が罹患し、3人に1人が死亡するなど、非常に身近な疾患となっています。
がん対策推進基本計画(第2期)にはがん教育が組込まれ、2017年3月に告示された中学校の学習指導要領にがん教育が記載され、2021年度には全面実施となりました。しかしながら、文部科学省の令和5年度におけるがん教育の実施状況調査によると、中学校での外部講師を活用したがん教育の実施率は11.2%にとどまっています。
外部講師には、医師やがん経験者と共に薬剤師も含まれています。近年では薬物乱用防止教室等で学校薬剤師が授業を行なっていることも多いことから、我々は学校薬剤師のがん教育参画の可能性について検討しています。そこで今回は、がん教育で使用できるカード学習教材を作成するとともに、学校薬剤師によるがん教育を実施し、その教育効果を測定することで、学校薬剤師のがん教育への参画の可能性について検証しました。

中学生に対しては下記のことが判明しました。
 1)がんに関する正しい知識が身についた
 2)知識のみならず、サポートの仕方なども学ぶことができた
 3)予防やがん検診については、家族にも勧めるなど波及効果も認められた
このことから、学校薬剤師ががん教育を行う際に
 1)授業を1コマで実施できる
 2)スライド作成等資料の準備を必要としない
 3)十分な教育効果がある
など、本カード学習教材は学校薬剤師ががん教育に参画する際に有効なツールであることが判明しました。
現在、本カード学習教材を用いて薬剤師会と連携しがん教育普及に努めています。

これらの研究成果に対し、第18回日本緩和医療薬学会年会 優秀演題賞(2025年6月22日付)を受賞いたしました。


表1
表1:カード学習教材を用いたがん教育実施前後の生徒のがんに対する知識の変化

図1
図1:カード学習教材「がんを学ぼう!メディカルテット」

図2
図2:カード学習教材「がんを学ぼう!メディカルテット」の遊び方


同じカテゴリの研究レポート

  • ゲノム情報を利用したベンジルイソキノリンアルカロイド生合成系とその発現制御機構の解明、および物質生産への展開
  • ゲノム情報を利用したベンジルイソキノリンアルカロイド生合成系とその発現制御機構の解明、および物質生産への展開

  • コンドロイチン硫酸AはWnt3a/β-カテニン依存的なp53の発現亢進を介して骨芽細胞分化を抑制する
  • コンドロイチン硫酸AはWnt3a/β-カテニン依存的なp53の発現亢進を介して骨芽細胞分化を抑制する

  • ワンポット立体選択的環化反応を基盤とする生物活性多官能複素環の実践的合成
  • ワンポット立体選択的環化反応を基盤とする生物活性多官能複素環の実践的合成

  • 免疫療法への応用を目指したプロバイオティクス由来細胞外小胞の有用性評価と機能改変技術の開発
  • 免疫療法への応用を目指したプロバイオティクス由来細胞外小胞の有用性評価と機能改変技術の開発

  • がん固有の環境を標的とした癌治療増感をめざす創薬化学研究
  • がん固有の環境を標的とした癌治療増感をめざす創薬化学研究

  • コンドロイチン硫酸の硫酸化構造変化による骨硬化症の発症
  • コンドロイチン硫酸の硫酸化構造変化による骨硬化症の発症

  • 高感度な免疫測定法の構築に必須な高親和力抗体を効率よく獲得する手法の開発
  • 高感度な免疫測定法の構築に必須な高親和力抗体を効率よく獲得する手法の開発

  • ラジカル化合物の反応性制御と生体計測プローブ・治療化合物への展開
  • ラジカル化合物の反応性制御と生体計測プローブ・治療化合物への展開

  • 磁性リポソームを利用した標的組織内滞留型磁性化間葉系幹細胞の作製
  • 磁性リポソームを利用した標的組織内滞留型磁性化間葉系幹細胞の作製

  • 亜鉛触媒反応を応用した細胞内亜鉛イオンの高感度検出プローブの開発
  • 亜鉛触媒反応を応用した細胞内亜鉛イオンの高感度検出プローブの開発