実習ベースの専門教育

6年制薬学教育は病院や薬局での長期実務実習を行うことが大きな特徴です。本学では医療現場に即応できる薬剤師の養成に向けた実習や演習のほか、医師や薬剤師としての実務経験が豊富な教員による指導を強化しています。ほかにも地域の医療機関や他大学との連携を生かした実習など、さまざまな環境で学べる実践的なカリキュラムがあります。

早期体験学習

薬剤師の仕事を知り、医療人としての意識を高めます。

1年次に学習のモチベーションを高めるとともに、早い段階から医療人としての自覚を持つために行う体験学習です。病院、調剤薬局、製薬企業、公的機関、福祉施設などを少人数のグループに分かれて訪問し、薬剤師の実際の職場や業務を見学します。訪問後は体験した内容についてグループに分かれてスモールグループディスカッション(SGD)を行い、クラスや全体でプレゼンテーションを実施することで体験を共有します。
実習によって、理想の薬剤師像や6年後の目標を考えることはもちろんですが、SGDによる課題発見能力、問題解決能力やコミュニケーション力、プレゼンテーション能力を養う機会にもなっています。

早期体験学習 発表会

臨床薬学実習

VRゴーグルとコントローラーを装着して、仮想空間で人体の解剖を展開します。目の前に現れる3Dの人体模型は細部まで分解ができ、もちろん角度や大きさも自由自在で、まさしく手に取るように臓器や筋肉、神経を解剖・観察できます。薬学部は医学部とは違い、人体を用いて行う解剖実習がなく、臓器の形や位置を視覚的にイメージできないことも多く、この実習を通して人体の構造を視覚的に学ぶことを目的としています。

実務実習事前教育

医療現場に近い環境で薬剤師に必要な知識・技能・態度を身に付けます。

5年次の臨床現場における長期実務実習に備え、4年次には実務実習事前教育として薬剤師業務の実際を講義・実習・演習形式で受講します。事前教育は、医療機関や薬局の薬剤師も指導に加わり、中規模病院薬剤部の設備を備えた総合教育研究センター(臨床部門)を利用して臨場感あふれる形で行われます。具体的には、模擬症例による処方せんに基づく調剤や院内製剤の調製、模擬患者への服薬コミュニケーション指導、医薬品情報の解析などのシミュレーション実習を行うとともに、小グループに分かれてのスモールグループディスカッション(SGD)を取り入れ、協調性、積極性、コミュニケーション力やプレゼンテーション能力の育成を行います。

フィジカルアセスメント

血圧、脈拍、体温などの測定について、実際の患者と向かい合った形での実習に取組みます。

人体シミュレータを活用した実習

人体模型・シミュレータを使い、各種臓器の位置を確認し、ケースに応じた基本対応を学びます。

ディスカッション・発表

SGDを中心に学習効果を高めます。実習室には議論を進めやすい円形の机を配置しています。

総合教育研究センター(臨床部門)

学生が最大限に能力を伸ばすことができるレベルの高い教育環境を提供し、医療の質の向上に貢献できる薬のスペシャリストの育成を目的とした組織です。センターの機能はG棟に集約されており、薬学共用試験OSCEに対応した実務実習事前教育を可能としています。
また、当センターには研究室生を配属し卒業研究に取組みます。

服薬指導

模擬患者(ボランティア)との服薬指導実習。「笑顔」を大切に、コミュニケーションを円滑にする方法を学習します。

無菌調製

注射剤・点滴などの無菌製剤を安全に調製するための方法を実習します。

計量調剤

錠剤、散剤、水剤それぞれについて、病院環境を模した調剤環境で実習を行います。

薬学共用試験

6年制薬学教育の4年次後期に受験する薬学共用試験は、5年次に病院や薬局で実務実習を行う学生が、一定基準を上回る知識・技能・態度を備えていることを評価する、全国の大学で統一された試験です。共用試験には「CBT」*1「OSCE」 *2の2種類があり、これらの試験に合格した学生が実務実習を行うことができます。

  • *1 CBT(Computer Based Testing):「知識及び問題解決能力を評価する客観試験」
  • *2 OSCE(Objective Structured Clinical Examination):「態度・技能を評価する客観的臨床能力試験」

長期実務実習 病院実習

病院という臨床の現場で実際の薬剤師の役割を体験して学びます。

病院薬剤師の業務と責任を理解し、チーム医療の一員として参画できる力をつけるため、5年次には病院で実際の患者への処方内容に基づいた調剤業務、医薬品管理業務、医薬品情報業務など病院薬剤師業務の実際を体験しながら学びます。

長期実務実習 薬局実習

地域に根付いた薬局業務を通じてこれからの薬剤師に必要なことを学びます。

薬局の社会的役割と責任を理解し、地域医療の一員として参画できる力をつけるため、5年次には保険薬局において、保険処方せんによる保険調剤のほか、一般医薬品などの供給管理、情報提供や健康相談、学校薬剤師業務、医療機関との連携や在宅医療での薬剤師業務などを通じて地域とのかかわりについて学びます。