• 2024/05/15
  • KPU Research

【プレスリリース】塩化亜鉛触媒を用いる芳香族ニトリルへのグリニャール付加反応(生命有機化学研究室)

神戸薬科大学 生命有機化学研究室の波多野 学 教授、東邦大学 薬学部 坂田 健 教授、吉川 武司 准教授らは、芳香族ニトリルへのグリニャール(Grignard)反応剤を用いるアルキル付加反応において、塩化亜鉛(ZnCl2)触媒を用いると、室温下で反応が著しく促進されることを見出しました。最大の特徴は、安価な塩化亜鉛とグリニャール反応剤から触媒量の高活性亜鉛(II)アート反応剤を形成させ、それを本反応に用いた点です。さらに、精密理論計算を行って反応機構を考察し、確からしい反応経路を提唱しました。

本合成技術はグリーンケミストリーに立脚しており、環境に負荷をかけずに望む芳香族ケトンやアミンが簡便に得られます。得られたケトンに対してさらにアルキル付加すると、第三級アルコールを高収率で得ることもできました。これらは医農薬品などに含まれる基幹的パーツであり、低コストかつ安全で高効率的な新規合成法を開発できたことは有機合成的に大きな意義を持ちます。

本研究成果は、国際化学雑誌「Chemical Science」への掲載に先立ち、2024年5月13日にオンライン版に掲載されました。

【研究内容】
「塩化亜鉛触媒を用いる芳香族ニトリルへのグリニャール付加反応」

詳しい研究内容は、以下のPDFファイルをご覧ください。
「塩化亜鉛触媒を用いる芳香族ニトリルへのグリニャール付加反応」


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【論文情報】
(タイトル)
"Zinc chloride-catalyzed Grignard addition reaction of aromatic nitriles"

DOI: 10.1039/D4SC01659A

(雑誌名)
Chemical Science

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