• 2023/12/15
  • KPU Research

【プレスリリース】挿入反応を利用したオキシムエーテルの新たな合成法の開発に成功(薬品化学研究室)

神戸薬科大学 薬品化学研究室 上田昌史教授、武田紀彦准教授、安井基博助教(研究当時、現:京都工芸繊維大学)らは、挿入反応を利用したオキシムエーテルの新たな合成法の開発に成功しました。

一般的に挿入反応は、出発原料にジアゾ化合物の使用が必要であり、さらには高価な遷移金属の使用、場合によっては加熱条件などが必要でした。本成果では、この限定条件を回避し、ジアゾ化合物や遷移金属を必要としない挿入反応を新たに開発し、医薬品や農薬の候補として重要なオキシムエーテル合成を実現しました。この挿入反応は、酸素-水素(O-H)結合の間に、炭素原子を挿入し(割り込ませ)、酸素-炭素-水素(O-C-H)結合をつくることができます。さらに、開発した合成法を用いて、殺虫作用/ダニ駆除作用をもつ化合物を既存の方法よりも効率よく合成することに成功しました。本成果によって、単純な原料から多彩なオキシムエーテルの迅速供給が可能になり、医薬品や農薬の創製に繋がることが期待されます。

【研究内容】
「挿入反応を利用したオキシムエーテルの新たな合成法の開発に成功」

詳しい研究内容は、以下のPDFファイルをご覧ください。
「挿入反応を利用したオキシムエーテルの新たな合成法の開発に成功」

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2023年12月6日に英国王立化学会の「Chemical Communications」への掲載に先立ちWeb上で公開されました。さらに、本研究のイメージ図が研究成果を発表する論文の掲載号でのinside front cover (裏表紙)の表紙画に選ばれました。

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【論文情報】
(タイトル)
"Synthesis of oxime ethers via a formal reductive O-H bond insertion reaction of oximes to α-keto esters"

DOI: 10.1039/D3CC05522A.

(雑誌名)
Chemical Communications

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