• 2021/03/22
  • 教育・研究

【プレスリリース】肺高血圧症の新しい病態メカニズムの発見(臨床薬学研究室)

神戸薬科大学 臨床薬学研究室の池田 宏二 客員教授、江本 憲昭 教授らは、肺の微小血管の内層を覆う血管内皮細胞がインヒビンβ-A(INHBA)という物質を合成しており、このINHBAが過剰に合成されると自らに作用して血管内皮細胞の機能が障害され、肺高血圧症が発症・進展することを発見しました。

肺高血圧症患者さんの肺から単離してきた血管内皮細胞は実際にINHBAを過剰に合成しており、また血管内皮細胞においてINHBAを過剰発現させた遺伝子改変マウスでは肺高血圧が増悪する一方、血管内皮細胞特異的にINHBAを欠損させた遺伝子改変マウスでは肺高血圧を発症しにくくなることを明らかとしました。

この論文がNature Communicationsの3月19日号電子版に掲載されましたので、報告いたします。


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【研究内容】
「肺高血圧症の新しい病態メカニズムの発見」
~心臓と肺を繋ぐ大切な血管 敵は己に潜んでいた~

詳しい研究内容については、以下のPDFファイルをご覧ください。
「肺高血圧症の新しい病態メカニズムの発見」

今回の発見は、肺動脈の血管自体が自身の機能を障害する物質を過剰に合成することが肺高血圧症発症を引き起こすことを明らかとした画期的な成果です。
将来的には、INHBAの働きを阻害する新しい治療薬の開発につながることが多いに期待されます。

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【論文情報】
(タイトル)
"An endothelial activin A-bone morphogenetic protein receptor type 2 link is overdriven in pulmonary hypertension"

DOI:10.1038/s41467-021-21961-3

(掲載誌)
Nature Communications

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【掲載メディア】 2021年5月10日 追加

神戸新聞に掲載されました(掲載日:2021年4月4日付)。
「肺高血圧症の誘因物質発見」
電子版(神戸新聞NEXT)は こちら

薬事日報に掲載されました(掲載日:2021年4月7日付)。
「肺高血圧症の因子発見-血管内皮細胞が自身を障害」

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