親子2代で神薬生。
無理やり語呂合わせ作戦で乗り切った
2つの試験
母が卒業生だったので子どもの時から大学の話や卒業後の仕事の話を聞いたりして、受験を決めるころから非常に親しみがありました。また、歴史のある薬科大学であることもひとつの理由です。私の入学年度からちょうど神戸女子薬科大学から共学の神戸薬科大学になるタイミングでしたので、縁も感じ受験しました。
受験科目については学校と予備校の授業でしっかり対策を行いましたが、過去問を見ると特に化学が難しかったので、化学については勉強のウエイトを多くしました。覚える必要のあることは自分で無理やり語呂合わせを作ったりして覚えていました。無理やり作ったのでもうすっかり忘れてしまいましたが、受験時には非常に役立ちました。ちなみにこの無理やり語呂合わせ作戦は国家試験の際に再び活用しました。
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指導教員の学会受賞を契機に
研究活動の大切さに触れる
私はまだ4年制の時ですが、専門教科が増える3年生の時に一気に授業も実験も増え、覚えることもたくさんあり毎日大変だった記憶があります。生物分野、化学分野、物理分野と幅広くかつ深い内容で授業を聞いただけでは理解できないこともしばしばありました。
私は衛生化学研究室で卒業研究をしてました。その時の指導教員の先生が学会で賞をとられたことや、テレビの取材を受けられておられて、その研究には自分も携わったいたので、自己満足ではなく社会に認識される研究の大切さを学びました。
私が就職活動をした時はちょうど就職氷河期であり、採用を停止していて会社も多かったです。私は企業の研究職を希望しておりましたが、研究職はさらに募集が少なく、とにかく採用のある会社を探すのが大変でした。研究職以外の仕事は決まりそうでしたが、あまり気乗りしないこともあり悩んでいた時にキャリアサポートの職員の方が相談に乗ってくださいました。あの時相談していなかったら、今の自分はなかったので、ひとりで悩まなくて良かったと思っています。
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社会を支える重要な仕事
現在は大阪府と大阪市が設立した地方衛生研究所の理化学部門で水道水や家庭用品の検査・調査研究に従事しています。特に水道水中のダイオキシン類やPFASなど微量でも健康に影響のある化学物質について主に担当しています。また、現在未規制となっている化学物質について分析法を開発し、実際にどれくらい河川や水道水に存在しているか実態調査を行ったりもしています。
研究職に進んだきっかけは、大学院生の時に所属していた衛生化学研究室の先生の意向で現所属の前身である大阪府立公衆衛生研究所の見学と講義を受ける機会があったことです。その当時、ダイオキシン類が非常に社会問題となっていましたが、母乳中のダイオキシン類を何十年と測定し、昔と比べると低下している話をデータとともに教えていただきました。そのデータは世界的にも非常に貴重なデータであり、多くの国で引用されていることを知り、自分もそのような大きな研究に携わりたいと思いました。
この仕事の魅力は、結果が行政施策や行政指導に直接つながる検査を実施していることや、これから問題になる可能性のある化学物質について先行的に研究を行い、行政にフィードバックできることです。あまり表にでない仕事ではありますが、社会に役立つ仕事ができているという自負があります。また、最新の分析装置を使用できることも魅力です。
大阪府、大阪市だけでなく他の地方衛生研究所からも頼られる唯一無二の組織になるよう後輩の育成をしていきたいと思ってます。また、大阪の不健康なイメージを少しでも払拭できるような仕事をしていきたいと思ってます。