副作用の少ない薬を作り
人々の健康に貢献したい
中学生の頃、祖母が末期がんを患い、薬を服用していました。副作用で苦しむ祖母の姿を見てとてもつらく、「もっと副作用の少ない薬はないのだろうか」と強く思いました。その経験から、副作用の少ない薬を作り、人の健康に貢献したいと決意し、薬学の道へ進むことを決めました。
神戸薬科大学は、薬剤師国家試験の合格率が高いことが魅力だと思いました。薬局や病院で患者さんの力になるために必要な資格を取れるのは大きな魅力です。また、研究にも力を入れており、製薬企業などの薬剤師以外の職業につくことも可能であるため、卒業後、いろいろな道が選べると思いました。
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試行錯誤の中で培った
課題解決能力
日々研究を行っていると、上手くいかないことが多くあります。その時に「何が原因なのか、どうすれば問題が解決できるのかをしっかりと考え、次の実験に活かす」というサイクルをしっかりと行うことで限られた時間の中で結果を出すことができるようになったと感じています。
博士課程3年のときには、薬品化学講座で日本薬学会第141年会 学生優秀発表賞(ポスター発表の部)を受賞しました。研究テーマは、「ヒドラゾンのイミノ炭素の求核性を利用したアルキル基を有する1,2,4-トリアゾール合成法の開発」でした。
様々な医薬品に含まれるトリアゾール骨格を合成できる新たな方法を開発するための研究です。ヒドラゾンに含まれる炭素原子は正電荷と負電荷を併せもつという隠れた特性があります。本研究では、十分に活用されていなかった負電荷の特性を巧みに用いることで、これまでとは全く異なる方法でトリアゾール骨格を合成することに成功しました。
当初は再現性の確保に苦労し、何が悪いのか全くわからない状況でした。そこで、先生方の助言や副生成物の構造を確認することによって、何が問題であるのか明らかにし、どうすれば改善できるかを一つ一つ考えながら研究を行いました。その結果、再現性が高い実用的な反応に仕上げることができました。
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プロセス化学の
プロフェッショナルを目指して
現在は薬の有効成分である「原薬」を安定して高品質に作るための研究を行っています。具体的には、化合物を加える順番や量、温度などを変えながら実験を行い、得られた原薬の品質を確認し、より良いレシピを作り上げていく研究です。
大学院では新規反応の開発に没頭していましたが、現在の仕事では、その反応を工業的に実施するためのプロセス開発に携わることができ、非常にやりがいを感じています。研究室では小規模な実験しか経験できませんでしたが、実際に工場規模で反応を安定的に行うためには、様々な検討が必要であり、日々新たな発見があります。
引き続き、これまで培ってきた有機化学の知識やプロセス化学の知識を活かし、患者さんの役に立てるように数多くの医薬品開発に関わっていきたいと思います。また、さらにプロセス化学の知識や経験を深め、プロセス化学のプロフェッショナルになりたいと思っています。