生化学研究室の
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癌やアルツハイマー病、その他の多くの疾病における生体分子の異常の一つとして、硫酸化糖鎖の構造の変化が知られている。当研究室ではこのような硫酸化糖鎖の生体における役割を解明するとともに、硫酸化糖鎖が様々な疾病とどのような関わりをもっているかを研究している。
動物組織にはグリコサミノグリカンと呼ばれる一群の硫酸化糖鎖が存在しており、タンパク質に共有結合したプロテオグリカン分子として存在し、細胞の増殖や分化、組織の形態形成などに必須の様々な役割を演じている。また、細胞表面にも見い出されるこれらの分子はウイルスや病原菌の感染の際のレセプターになっており、また、癌性変化をきたす。ある種の硫酸化糖鎖(ヘパラン硫酸)が合成されなくなると骨の癌になることや、小腸でヘパラン硫酸が合成されない遺伝病では腸間吸収の異常をきたし、出生後すぐに死亡する。硫酸化糖鎖の分解の異常によって骨の異常や知能に著しい障害を受けることも古くから知られている。一方では、硫酸化糖鎖がエイズや癌をはじめとする種々の疾病の治療薬としての可能性をもつとも言われている。 当研究室では、これらの糖鎖の構造、機能、合成と分解の調節などの基礎研究を通して、様々な疾病の原因を探り、診断法を開発し、糖鎖を利用した創薬に貢献せんとしている。具体的には、以下のようなプロジェクトが現在進行している。 1. 癌、リュウマチ、関節炎、ムコ多糖代謝異常症、他の遺伝病などの血清を用いた早期診断法の開発
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